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Home 患者・ご家族の皆さま 血友病及び類縁疾患について 血友病について(血友病A・血友病B)
血友病について(血友病A・血友病B)
監修:聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院小児科 教授   瀧 正志 先生
▶ 血友病とは? ▶ 症状・病型 ▶ 製剤の投与 ▶ 出血時の対処 ▶ 日常生活上での注意点 

血友病とは?

・血友病(Haemophilia)とは血液中の血を固めるタンパク質の一部が欠乏、またはうまく働かないために止血異常をきたす代表的な病気です。
・血の固まる仕組みには11種類のタンパク質(血液凝固因子)が関わっており、そのなかでも、8番目のタンパク質(血液凝固第Ⅷ(8)因子)の欠乏、または機能低下している病気を血友病A、9番目のタンパク質(血液凝固第Ⅸ(9)因子)の欠乏、または機能低下による病気を血友病Bといいます。

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※内因系凝固と外因系凝固
・血液中に常に存在する血液凝固第Ⅻ(12)因子が、外部の異物に触れることによって始まる止血の経路を「内因系凝固」といいます。
・普段は血管内の細胞に存在し血液中には存在しない組織因子が、血管が傷つくことで血液中に現れることによって始まる止血経路を外因系凝固といいます。
・血友病は遺伝性の病気です。しかし、患者さんの約30%は兄弟、両親、祖父母に血友病患者さんや血友病の素因を持つ人(保因者)がいないのに血友病を発症します。このケースを孤発例といい、突然異変がその原因と考えられています。
・血友病はX連鎖劣性遺伝という遺伝形式の病気であるため主に男性が発症しますが、きわめて稀に女性も発症します。
・日本の血友病の患者数は血友病Aで4394人、血友病Bで952人と報告されています(2010年エイズ予防財団「血液凝固異常症全国調査より」)

症状・病型

・特徴的な出血症状は、筋肉内出血、関節内出血などの体の深部での出血です。
・皮膚の下、鼻の中、口の中の出血などのほか、抜歯時や手術時は止血が難しくなります。
・出血症状は活動が活発になる乳幼児後半で、臀部(おしり)や前額部(ひたい)などに皮下出血がみられるようになります。
・頭を強くぶつけた場合や、頭の中の出血、頸やのどの出血、腰や腹の筋肉(腸腰筋)の出血は、緊急の対応(製剤の投与や入院治療)が必要です。

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・血友病の病型は血液中の第Ⅷ(8)因子、または第Ⅸ(9)因子の機能(凝固活性)の値で決められます。
(凝固活性:健康な人の凝固活性を100%として算出します。)
・病型は、重症:1%未満 中等症:1〜5%未満 軽症:5%以上に分類されます。
・血液中の第Ⅷ(8)因子や 第Ⅸ(9)因子の値で決めた重症度は、出血の回数や程度にほぼ相応すると言われています。

製剤の投与(補充療法)

・血友病の出血に対する治療としては、凝固因子を含む製剤(凝固因子製剤)の静脈内注射(補充療法)が基本です。
・注射の方法として、手の甲や肘の末梢静脈のほか、静脈注射が難しい場合は中心静脈アクセスデバイス(Central venous access device:CVAD(埋め込み型と体外型があります))を使用することもあります。
・血友病Aには凝固因子第Ⅷ(8)因子製剤、血友病Bには凝固第Ⅸ(9)因子製剤を使用します。
・血友病Aの中等症や軽症患者の軽度な出血に対しては合成ホルモン剤のDDAVPを注射します。
・凝固第Ⅷ(8)因子製剤、凝固第Ⅸ(9)因子製剤はそれぞれ血漿由来製剤と遺伝子組換え型製剤があります。
・投与量は出血箇所、程度などによって変わります
・以下の式に基づいて投与量が算出されます。

【計算式】
第Ⅷ因子:必要投与量(単位)=体重(kg)×目標ピーク因子レベル(%)※1×0.5
第Ⅸ因子:必要投与量(単位)=体重(kg)×目標ピークレベル(%)※1×(1〜1.4)(または第Ⅷ因子の必要投与量の1.5-2倍量)※2
※1目標ピーク因子レベル:止血に必要な血液中の凝固因子の最高時濃度を目標ピーク因子レベルといいます。
※2:第Ⅸ(9)因子の回収率は個人差が大きく※で示した係数に幅があるので(1〜1.4)主治医にご相談ください。
 
    
補充療法の種類
・出血時に補充する方法以外に、出血を事前に防ぐ投与方法もあります。またこれらの補充療法は病院のみではなく、ご家庭でも投与可能です(家庭療法といいます)。それぞれの方法については、主治医の先生にご相談ください。
出血時の注射
(オン・デマンド注射)
・出血時に凝固因子を注射し、止血を行う方法です。出血早期に注射することが大切です。
事前注射
(予備的補充療法)
運動会、遠足、部活などの活動的な場合に、当日の朝など事前に製剤を注射しておき、出血を予防する方法です。
定期補充療法
・非出血時に定期的に製剤を注射することにより、血友病性関節症や、滑膜炎を予防します。
・通常、血友病Aでは週3回程度、血友病Bでは週2回程度行います。
・対象は重症な患者さんや頭蓋内出血などの重大出血を起こした患者さんですが、出血回数の多い中等症、あるいは一部の軽症の患者さんにも行われます。
・最初の関節出血が起こった後あるいは2歳未満に開始する1次定期注射と、関節障害が進んだ後に開始する2次定期注射に分けられます。

出血時の対処

【急性出血時の対処と補充療法】
・出血したら直ぐに、製剤を投与しましょう。応急処置として、圧迫止血や冷却、拳上が必要です。
また出血部位によっては緊急の主治医への連絡が必要です。
出血部位 主な症状と補充療法
関節内
筋肉内
・関節の腫れ、痛み、違和感、むずむず感などが現れます。
※関節内の出血を繰り返すと炎症が起こり、長引くと関節が壊され変形し、痛みを伴います(血友病性関節症といいます)。
・筋肉内では筋肉痛のようにだんだん熱を帯び、腫れてきます。
・出血の前兆、または初期の場合、目標とするピーク因子レベルを20~40%の範囲で選択し1回投与します。
・重症出血の場合は40~80%の範囲で選択して1回投与します。以後、症状に応じて目標ピーク因子レベルを20~80%の範囲で選択し、12~24時間の間隔で出血症状消失まで追加投与します。
口腔内
・口の中をかむ、歯肉の炎症、歯の治療によって起こります。
・出血部分を圧迫し、止まりにくい場合は飲み薬のトラネキサム酸を使用します。
・止血しなければ目標ピーク因子レベルを20~40%とし、製剤を1回投与します。重症度に応じて、12~24時間毎に1~2日間製剤を投与します。
・舌、舌小体、上唇小帯、下唇小帯の出血、口唇裂傷による出血の場合は目標ピーク因子レベルを40~60%とし、12~24時間毎に3~7日間製剤を投与します。
消化管
・症状は血便、吐血、腹痛などです。
・緊急の入院治療が必要になります。
・目標とするピーク因子レベルを80-100%とし、重症度に応じて12~24時間毎に、止血後も3~7日間以上製剤を投与し、漸減中止します。
・原因の検索は重要です。
皮下
・打ち身による内出血(青あざ)が起こりますが、多くの場合は何もしなくても止血します。
・大きな血腫や頚部・顔面の血腫に対しては目標ピーク因子レベルを20~40%とし、症状に応じて12~24時間毎に1~3日間製剤を投与します。
鼻粘膜
・鼻をかむ、ほじる、くしゃみ等で起こります。
・ワセリンなどの刺激のない軟膏を塗布したガーゼ、脱脂綿等を詰め込み、圧迫します。止まりにくい場合はトラネキサム酸(1回15~25mg/kgを1日2~3回の経口投与または1回10mg/kgを1日2~3回静注)が有効です。止血しなければ目標ピーク因子レベルを20~40%とし、症状に応じて12~24時間毎に1~3日間製剤を投与します。
血尿
・腎臓や尿道の出血により起こります。軽度の場合は水分(または補液)をとって安静にします。
・改善しない場合は目標ピーク因子レベルを20~40%に、疼痛を伴う場合や血尿が遷延する場合は、40~60%を目標に、症状に応じて12~24時間毎に1~3日間製剤を投与します。 ※トラネキサム酸は使用できません。
・原因の検索は重要です。
頭蓋内
・緊急の入院治療が必要になります。
・頭を打撲した後、頭が痛い、吐き気がする、痙攣する、熱がでるなどの症状は注意です。
・目標トラフ因子レベルを100%とした持続輸注が推奨されますが、困難な場合は目標ピーク因子レベルを最低100%とし、12時間毎に製剤をボーラス投与します。最低5~7日間以上製剤を投与します。
・乳幼児の場合、初期では典型的な症状がなく、顔色がすぐれず何となく元気が無いなどの症状だけのこともあるので頭を打撲した後などは注意が必要です。
乳幼児の頭部打撲
・程度に応じて速やかに目標因子レベルを50~100%となるよう製剤を1回輸注します。以後、必要に応じてCTスキャンなどの検査をします。検査で頭蓋内出血が否定された場合でも一両日中は十分は経過観察が必要です。
日本血栓止血学会誌19(4):510~519.2008より一部抜粋改変

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日常生活上での注意点

【日常生活の注意】
① 軽いすり傷や切傷のような場合には、出血部位の付近を水道水などで十分に洗い、清潔なガーゼ等で圧迫すると止血できます。止血できない場合、出血量が多いと感じた場合は、製剤を投与し主治医や医療スタッフに相談してください。
② 頭をぶつけた場合や、頭の中の出血、首周りやのどの出血、腰や腹の筋肉の出血は緊急の対応が必要です。直ぐに製剤を注射して、直ぐに病院にいきましょう。
③ 飲むのを避けたい薬
解熱・鎮痛剤に含まれるアスピリンやインドメタシンは止血を妨げる作用があるので、これらの成分を含む薬は避けてください。薬局・薬店で売っている風邪薬や解熱・鎮痛剤にも入っている事があるので、購入時には薬剤師に成分を確認しましょう。解熱・鎮痛剤としてはアセトアミノフェンが最も安全です。

【今後の生活にあたって】
④ 保育園、幼稚園、学校での生活では・・・
出血すると止まりにくい事や出血した際の一般的な対処法(安静=rest, 冷やす=ice, 圧迫=compression, 挙上=elevation:これらをRICEといいます。)を園、学校側へ説明しておくといいでしょう。緊急時の連絡先もあらかじめ伝えておき出血時には、直ぐに連絡してもらいましょう。
⑤ 旅行(国内、海外)するときは・・・
旅先で緊急時にかかれる病院や対応について事前に主治医に相談しておくと安心です。また、事前の注射(予備的補充療法)や、製剤を携帯することも可能です。製薬会社が作っているヘモフィリアハンドブック(血友病手帳)や緊急カードを使うと便利です(無料ですので、主治医に申し出てください)。海外旅行の場合はヘモフィリアハンドブックの該当項目を事前に主治医に英文で記載してもらってください。
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ヘモフィリアハンドブック
(血友病手帳)
  緊急カード
⑥就職や結婚するとき
病気の説明に関して必要であれば、主治医や医療スタッフに相談してください。

【受診時や緊急時に備えて】
⑦出血と治療内容を記録しましょう!    
出血の日時、箇所、痛みや腫れの有無、使用した血液製剤の製剤名、単位数、ロット番号などの記録をつけましょう。製薬会社が作っているヘモフィリアハンドブック(血友病手帳)や輸注記録票を使うと便利です(無料ですので、主治医に申し出てください)。受診時に主治医にそれを見せる事により来院までの病状の経過を理解してもらえます。また患者さん自身で病状や治療の経過が把握できるようになります。
⑧ 緊急時に備えましょう!
名前、生年月日、家族名、緊急連絡先、病名、病院名、病院の連絡先、診察券番号、主治医名、製剤名、投与量などを記入したカード等を用意しておくと便利です。製薬会社が作ってるヘモフィリアハンドブック(血友病手帳)や緊急カードを使うと便利です(無料ですので、主治医に申し出てください)。また、緊急時の連絡方法や夜間、日曜・祝日に受診可能な医療機関を確認しておくことも大事です。




 
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